青の向こう




よりにもよってここに彼を連れてきた。


「ここさ、響子と一緒によく来てたよね。小学校の時とか特に。あたし今ミツダで働いててさ。それで帰りよく寄るんだ。ここ」

ミツダとは私達が中学の頃出来た大きなショッピングセンターだ。

服屋、家電、スーパー、雑貨屋などの店が入っており、市内の人には好まれてよく利用されている。

その影響であの商店街は当時の活気が段々失いつつあった。


「帰りを大輝が送ってくれてたんだけど」

あ、彼のことね、とみっちゃんが目配せする。


「ここの公園、中学ん時よく来てたんだよって言ったらよく帰りに二人で寄るようになってさ。思い出の場所」


二人が笑っている。

二人で笑っている。


何だそれ。と思った。

のろけ話をする為にわざわざ呼んだのか。


私も笑う。


ご丁寧に"思い出の場所"で説明して。

私と彼女の場所ではなく、新しい彼氏との場所。


所詮友情なんてこんなもんか、と安っぽい言葉を見えない声で呟いた。