青の向こう




遊ぼうよ、と時々みっちゃんから連絡が入る。

それを私は正直煙たがっていた。


入学したてで慣れない学校生活にこっちは必死だったし、何より当時の彼女は今よりずっと色んな事に貪欲だった。


多分、高校は彼女にとって新しい世界だったのだろう。

ノリとそれらしい外見さえあれば、思い切りがいい友達に、規則に縛られない世界が手に入る。


その為にお洒落も、彼氏も、規則を破る事の快感にも、溺れていった。初めてが故に余計に。


「最近友達に誘われてバイト始めたんだけどね、そこの先輩でちょっといいなって思ってる人がいるんだよね。響子、相談乗ってくれない?」


「この前言ってた先輩がね、遊びに誘ってくれてさ。海に行くんだけど、友達呼んでいいよって言ってくれてるの。車、運転してくれるんだって。なんかさすが大人って感じだよね。で、花火も用意してくれるらしいから夜まで遊ぼうって。スイカ割りとかもするらしいよ。あ、響子いつ暇?」


全て何かしら理由をつけて断った。

本当に学校生活が忙しいのもあった。

ただ、時々町で見かける彼女も取り巻く人達を見ても彼女がどういう高校生活をしているのか想像は出来たし、彼女の母が私の母に相談しているという事も聞いていた。


「みっちゃん、どうしたのかしらね。最近確かに見なくなったけど、結構遅い時間に帰ってるみたいだし。あんたなんか知らない?」


さあ、と返すのが常だった。