「完了」

弾んだ声が聞こえた。


「お姉さんもムウちゃん好きでしょ」

悪戯な瞳が笑う。


「何で分かったの?」


「私が話してる時にずっと優しい目でシールを見てたから」


彼女が人差し指で自分の目元を指す。

「目は口ほどにものを言う」


最近覚えた諺なのか得意げに言った。

知識をひけらかす時にあらわになる今にもふふんと鼻を鳴らしそうな顔だ。

私がよくする顔。


彼女は「これはおまけ」とそのまま私の膝を指差した。


紫色の髪をした女の子ではなく、可愛いライオンのキャラクターがいる絆創膏がこちらを見て笑っていた。








気付くと真っ暗だった。

暗闇以外を視界が映していない。


横たわっている感覚がある。毎日感じるあの倦怠感も感じる。

首が痛い。


自分が横たわっているんだという事を脳が認識する前に暗闇が裂けた。

薄い光が飛び込んでくる。