青の向こう




事実だった。

確かに引っ越したのは二年前。


ただし、私が高校一年の時だ。

響ちゃんが四年生の時ではない。


「お姉さんみたいな人居たかなあ」


「私、部活が忙しくてほとんど家にいなかったから」


それでも納得いかないようで、うーんと考えるように呻く。


そして、「けどさ」と続けた。

「たった二年じゃ大きく変わる事なんてなかなかないよ」


私はまた口元を緩めて「そうだね」と笑った。




大きな坂道が目の前に差し掛かっていた。

自転車で上がるのも流石に困難な程、長さも幅も傾斜もきつい坂道。

下った時と同じ道だ。


その坂の脇に烏龍茶のような色の六階建てのマンションがある。

みっちゃんや頼ちゃんのマンションだ。