青の向こう




「絆創膏、家にある」


「え?」


目が合うともう一人の私は悪戯っぽく目を細めた。

来る?って目が言っている。


ああそうだ。

昔もこう言って誰かを家に誘った事がある。

ずっとずっと前の事だ。

もしかしたらこの子よりももっと幼かった頃。


行く、と返事したのはすぐだった。







名前よりも先に聞いたのは年齢だった。


「11歳」

弾みながら答えた彼女の横顔は反応に慣れているように笑っていた。

そして、

「冬生まれだからまだ11歳だけど、六年生」

と付け加えた。


小学生。

我ながら、いや本当に我ながら、大人っぽい小学生だったんだなあ、と感心すらした。


一瞬からかわれているような気もしたけれど、嬉しそうに年齢を打ち明ける彼女から嘘の匂いは漂ってこなかった。