青の向こう





その頃からだったろうか。


私にはよく考える「もし」話があった。

忘れっぽい私が何度も繰り返し考えるというのはかなり珍しい。

ふとした時にいつも思うのだ。


それは、


「もし、自分がもう一人いてくれたら」

だった。


念のために断っておくけれど、私は過度のナルシストという訳ではない。

むしろ中学までは自分が大嫌いだった(そういう年齢だったのかもしれないけれど)。


だから決して自分で自分を出来た人間だと思っているからではなく、理由は別にあった。


端的に言えば、理解者が欲しかったのだ。


私のこの複雑に渦巻いている不安や悲しみや喜びや楽しさを、適当にあしらわず、真摯に受け止め共有してくれる。

そんな最大の理解者が欲しかったのだ。