青の向こう




だから私は彼女に自分の考え方や「もし」話を喋らなくなった。


かといって高校の友達にそれを話せる子がたくさんいた訳ではない。

高校では、絵里ちゃんくらいだ。


小学、中学の頃は何でも人に話すのが好きだったけれど、高校生にもなると誰もが慎重になる。

話の重大さにメモリをつけて、友達を識別して、慎重に慎重に話すのだ。


高校生はやたら秘密という鍵を持ちたがる。

秘密を共有したがる生き物だ。


私には仲が良いと呼べる友達は割といる。
しかし彼女らは鍵を渡すにはまだ違うのだ。

そう簡単に教える訳にはいかない。


私は絵里ちゃんにだけ、全ての扉を開けるマスターキーを渡している。

かつてはみっちゃんが私にくれて、私がみっちゃんにあげたのと同じものだ。


いや、違うな。

それよりももっと冷たくて重たい。


少し、大人な私達はあの頃より重たい秘密を誰もが持っている。


それを抱えていくのはあまりに荷が重い。

けれど簡単に信頼したくない。