「奈美、おはよー!」
「あ、沙羅ーーー!!!おはよ!」

私の名前は高嶋奈美。
肩につくかつかないかくらいの髪を、少し茶色く染めている。そこまでかわいくもないし、スタイルもごく普通。本当にどこにでもいる中学生。

で、隣を歩いているのは立川沙羅。小学校からの大親友!私と違ってモデルみたいにかわいい。綺麗な髪をツインテールにしている。

今日から私たちは中学二年生になる。
去年は、これといっていい思い出がなかった気がする。今年はいい思い出ができたらいいなぁ…。
そう思っているうちに、私たちは学校についた。

「えーっと。沙羅、何組?」
クラス発表の紙を見ていたけど、人が多すぎて見えない…。
「待ってー。あ、沙羅は二組!
奈美も二組だよ!」
「やったあ!!二年連続だねー!」
私たちは今年も同じクラスになれた。
やばい、嬉しすぎる…!!

「うわっ!」
2人で喜びながら階段を登っていると、誰かにぶつかってしまった。
「ごめんなさ…」
振り向いてみると、そこには私の幼なじみ、拓也がいた。
「「お前か!」」
あー、最悪。またハモった。
こいつといるといいことがない。
「もー、気をつけてよね!あいかわらず、バカなんだから。」
「は?意味わかんねー。お前が気をつけたらいーだろ?」
「拓也なんか知らないもん。ほんっと、うるさい。」
「いやいやいや、お前だろ」
こんな会話が永遠と続くのが、私と拓也の関係。実は親どうしが仲がよく、小さいころはよく一緒に遊んでたんだけど…。小学3年生くらいから、いつのまにか遊ばなくなっていた。
「はいはい、そこまでー。」
沙羅が止める。沙羅!ナイス!!
「もぅ、なんなんだよ…!!」
そういいながら拓也は階段を一段飛ばしながら登っていった。少しニヤけていたのは気のせい?

「はぁ…」
教室で席についた瞬間、私は机にはりついた。朝から拓也とぶつかって言い合いしただけで、こんなにも体力をつかうなんて。嬉しいことに、私は窓側の席。沙羅とは少し離れてしまったけど、なんとかやっていけそうだ。

しばらくしていると、後ろから声をかけられた。
「あの…!奈美ちゃんだよね?」
この透き通った綺麗な声は、優里香ちゃんだ。優里香ちゃんとはあまり話したことがないけど、いろんな噂を聞いている。入学してからすぐに、何人かの男子に告白されたとか、超イケメンの裕太君と付き合ってるとか。ほとんどいい噂ばかりなんだけど…。それもそのはず、優里香ちゃんは誰が見てもかわいいって言うくらいの美人で、成績も優秀。まさに完璧ってわけ。
「あ、そうだよー!奈美って呼んでくれていいよ!優里香って呼んでもいい?」
そういうと、優里香はニコッと笑って
「いいよ!よろしくね〜」
と、言った。女の私でも惚れちゃいそうなくらいに、かわいい。

しばらく話していたら、チャイムがなり、ホームルームが始まった。
最初はみんな静かだったけど、少しザワザワしてきた。

…そしてなぜか、私の隣が来ていない。
ちょっと嫌な予感がした。