遥紗side<

「ハルセなん組だった?」
「1組ー。快は?」
「えー、あたし3組なんだけど。」

入学式が終わって、快とクラス表を見に行った。

「ハルセと同じクラスが良かったぁ」

快がいじけてる。

「まぁまぁ、8組とかじゃないから良かったじゃん。
昼休みとかには会えるし、ご飯一緒に食べよ?」

笑って快の頭を撫でてやると快が少し笑顔になる。

「わかった、じゃ休み時間に遊び行く!」
快が笑顔で言う。

元気になったみたいで良かった。

「1組て誰か知り合いいるー?」

すっかり調子が戻ったらしい快は私のクラスのクラス表をのぞきこんできた。

快って結構気分の移り変わりが激しいんだよね。まぁ、それも快のいいとこなのかもしれないけど。

「いや、知り合いはいなかったと思うよー。」

(そもそもあんまり同中の人がいないとこを選んだんだし。)

そう言いながら私も一緒にクラス表を見ていると。

「げっ」
不意に快が顔をしかめてうめいた。

「??どうかした?」

私が不思議そうにしていると、快が呟いた。

「あいつがいる。」
「あいつ?」

あいつって誰?

さらに頭の上にハテナマークを浮かべていると‥‥

「あいつって俺のこと?」

突然後ろから声が聞こえてきた。
びっくりして、振り返るとそこにはあの新入生代表の男子が。

「蓮(れん)‥‥」

快が少し怒ったような声で言った。

(え、快の知り合いなの?)
びっくりして快の方を見ると、そこには青い顔をした快が。

ふと、快の入学式の時の言葉を思い出す。
快が気を付けろって言うぐらいだからもしかして、相当ヤバい人なの?

そう考えると私も血の気が引いていったのを感じた。

たぶん快と同じくらい青い顔でその男子の方を振り向く。すると、向こうも私の方をじっと見ていた。

思わず身構えてしまう。

彼は快に話しかけた。
「これお前の友達?もしかして俺のこと何か喋った?」

空気がピリピリしてる。

「何も喋ってないって!」
快が怒ったみたいに言う。
私は全然状況についていけなくて、二人のやり取りを呆然と見てた。

暫く二人は睨み合っていたけど、突然彼は興味をなくしたように「あっそ。」と言うと教室の方に歩いて行った。

快はまだ彼の後ろ姿を睨んでる。

後ろ姿が見えなくなると、私は快に聞いた。

「今の人、快の知り合いなの?」

快が答える。

「うん、今のは夏木 蓮(なつき れん)。あたしのいとこなんだ。」



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あのあともう一度快に夏木君に関わらないように念を押されて、さすがにホームルームまで時間がなくなってきたので私のクラスの前で別れた。

教室のドアをあけ、自分の席を探していると‥‥
「??!」
私の席であろうとこあたりに巨大な女子の人だかりが。

恐る恐る、近寄ってみる。
人だかりは正しくは私の隣の席の人を中心にできていた。
そう、私の隣の席の夏木君を中心に。

向こうも私に気づいたみたいで、視線を返してきた。

‥‥‥快さん、どうやらあなたとの約束は守るのが難しいっぽいです。