学校につき、昇降口を通り抜けようとした瞬間背中にとてつもない衝撃が来た。息がつまる。痛いし。

涙目になりながら後ろの方を見ずに溜め息を吐きながら今私の方に突進してきた相手に話しかける。

「はぁ。痛いよ、快。
お願いだから朝から暴力奮わないで普通に声かけてよ。」

言い終わってから顔だけ振り返ると予想通り満面の笑みを浮かべた快がいた。
いつもは和むその笑顔が今だけは無性に腹立つ。

「よくわかったねぇハルセ!さすが我親友!
そしてあたしのこれは暴力じゃないよ!愛情表現だよ♪」
「こんなことすんの快以外にいないからね。
てか、どこが愛情表現よ?痛みしか伝わってこなかったわ」
そう言って快を引きはなそうとするが快は私の腰に抱きついて離れない。
暑いんですけど?

「抱きつき心地のいいハルセが悪いんだよ。思わず駆け出してまっしぐらに抱きつきたくなるようなハルセに全ての責任があるんだよ!」
「責任転嫁しないでくれる?」

ずりずりと快を引きづりながら自分のクラスの下駄箱を目指す。当たり前のことだけど進みずらい。

「快さん下駄箱にたどり着けないので退いて頂けませんか?」
敬語+黒い笑顔で快を見やると快も流石に離してくれた。
微妙に冷や汗らしきものをかきながら。うん、ものわかりがよくて助かるね。

それぞれ自分のクラスの下駄箱に向かって歩いていき、靴を入れて下駄箱を出たところで再び再会。

「ねぇ、ハルセもしかして今日機嫌悪い?」
快がちょっとびくびくしながら上目遣いで聞いてくる。
「うん、誰かさんが誰かさんに入学早々秘密をばらしたせいでね。」
少し意地悪な言い方になってしまったのは致し方ないだろう。
私の言葉に快がビクッとして顔をひきつらせる。
小動物っぽくて嗜虐心がくすぐられるけどこれ以上意地悪を言うつもりはない。

私は笑いながら快の頭をなでた。
「嘘。別に快にイライラしてる訳じゃないよ。」

そう言うと快はホッとしたように息を吐くが、どこか不満そうだ。

あれ?何でそんな微妙な顔してんの?

快に話しかけようと口を開いた瞬間、それを遮るように後ろから話しかけられた。

「じゃあ何にイライラしているんですか?」