「なあ、舞花。一つだけ教えてやるよ。どんな幼なじみでも奥様には敵わねえんだよ」



湊が籍を入れたときに言ってくれた言葉。


湊を好きになってからの時間は長いものじゃなかったけれどとても濃い時間だった。


辛くて泣いてばかりの日々だったけれどあたしにはかけがえのない時間だった。



仕事終わり、明石海峡大橋を背中に手を繋ぐ星空の下。


あたしは思い出したかのように口を開く。

「ねえ、湊。湊って小学校5年生までサンタさん信じてたんだって?!」

「はっ?な、何言ってんだよ」



まだまだ幼馴染のあの人には適わないけれどいつか、あたしが湊のことをなんでも知ってる一番になれたらいいな。



「あーっ、お腹すいた。みづえさんの美味しいそばめし、食べに行こうっと」



「おい、舞花。ちょっと待て、おい」


ねっそのときが来るまでは
打倒、幼なじみ。




〜end〜