「瑠夏さん。ごめんね。ずっと小坂さんから奪うことも出来なくて。本当は誰よりそれを望んでいたんだよな。弱虫で逃げてばかりでごめん」



「康・・・ちゃん?」



「俺、ずっと不安だった。彼氏は俺なのに瑠夏さんはずっと小坂さんを見てる。だからずっとずっと辛かった。でも井沢に言われてやっと目が覚めた。俺が瑠夏さんを小坂さんから奪わなきゃいけないって」



柴田くんが湊を真っ直ぐに見る。湊はただ黙って頷いた。なんだろう、二人は言葉を交わしたわけじゃないのに、



『お前に任せる』『俺がそばにいます』そう言ってるように思えた。