そう。こんなにお互いが離れられずに依存するのなら恋愛感情になればいいと何度思ったことだろう。


実際、瑠夏が言ったことは間違っていない。



「確かにあの成人式の日、酔っ払った瑠夏を部屋まで連れてったとき、俺は瑠夏を抱こうとした。足首にキスをしてそのまま。でも、出来なかった。酔っ払っているからとか大事にしているからとかそんなんじゃない。瑠夏を女として見られなかったから」



「・・・そんなの、そんなの分かってるわよ。湊が始めからあたしのことをそんな風に見ていないことも、あたしも湊をそんな対象で見ていないことも。だけど!だけど嘘でも策略でも湊を渡さないためならあたしはなんだってするわ」



だからね、こんな目障りなオンナを早くあたしの前から消してよ!!



声を荒げる瑠夏。俺が怯える舞花をギュッと抱き寄せた途端、十字架の前にツカツカと歩いて行き、振り向いた瑠夏は・・・手にナイフを持っていた。