「・・・うん、わかった」

「浴衣、来てこいよ。見たい」

「仕事帰りだから、無理だよ」

「じゃあ、用意していて。その夜浴衣姿見せて。泊まるから、お前の家」



花火大会の日、彼はうちに泊まると言った。それは、それが意味することはお互いの暗黙の了解。



今まで繋がらなかった身体を繋げる。お互い、そんな雰囲気にならないわけじゃなかった。



でも、あたしは嫌だった。こんな中途半端な気持ちで湊に抱かれるなんて。だからあの日あたしは彼に言ったんだ。



「もし、あたしが湊の最優先になれるのなら花火大会の日に泊まってほしい」



湊は決めてくれたんだ。西海さんよりあたしを選んでくれた。




でも、花火大会は・・・
湊との別れの日だった。