「そんなの、舞花に決まってるだろ!」



そう言った湊の声は少しだけ震えていた。

ねえ、湊は気づいていないかもしれないけれど車に彼女の香水の残り香がしたんだ。


それって、ここまで彼女と一緒に来たってことでしょ?



確かに彼女は柴田くんに会いに来たのかもしれない。でも、あたしに会いにくるっていうときにまで彼女を連れてくることなんてないよね。



まして、残り香が残る車内。



窓を開けても消えなくてあたしは、不安より悔しかった。


湊の優先はあたしよりも彼女、幼なじみの西海さんだって言われたようで。