「何かあったのか?話してみろよ」


家の前で聞かれた。


「……い。」

「え?」


「啓人には言えない!!!」


あたしはそう言いきって、家に入った。


玄関のドアを勢いよく閉めて、
扉にもたれながら
その場に座り込んだ。


「誰も家に居なくてよかった……」


あたしは大声で涙を流した。


「うっ……うわあん……っ」


なんで、なんで……


啓人。



気づくのよ!!

隠してるよ。


自分の気持ち隠してるのに、
啓人への想い隠してるのに、


分からせるようなことしないでよ。


また、啓人を想い続けちゃうじゃない……。


折角、違うよって、
好きじゃないって言い聞かせたのに。



「なんなのよ……っ」