「先輩もですね!気持ちを伝えないといけないのは」
声のする方へ振り返った。
「美咲君……?」
「先輩、無理すんなよ……」
そう言って美咲君はあたしを抱きしめた。
「ちょっ……?」
だんだんあたしを抱きしめている腕が強くなって
苦しくなる。
「なんで──……だよ……」
「え?何?」
あたしがそう聞くと、あたしから離れた。
そしてあたしの肩を両手でつかんだ。
「なんで俺じゃないんだよ!!」
あたしに向けられたこんな顔は初めてだった。
「紗有里さんは……?」
あたしは何言ってんだろう……
こんな時に……
「先輩……なんで」