「ちょっと……啓人…降ろして?大丈夫だから!!」

「廊下、俺らだけじゃん」


そりゃそうだけど……


あたしの心臓がもう、ヤバイんだよ……

ドキドキが、啓人に聞こえる……!!

それだけは絶対にヤダッ!!


「そうなんだけど……」

あたしが、そう言って俯いた。

「気にしてる?中本のこと……」

え??


「中本と俺が付き合ってるから、
俺に抱きかかえられてるの見られたら……とか、
考えてんじゃねぇの??」


うわっ……

バレてる……


「そ、そうだよ!!だって、
亜澄……に勘違いされるのヤダから……」


「中本はそんなこと思わねぇよ。
いいヤツだからさ。」

と明るい声で言う啓人に少し苛立ったあたしがいた。



いいヤツって……

確かに啓人にはそうかもしれないけど、

さっきの亜澄は

いいヤツに見えない……