ガラッ!
「おーいお前らー席につけー」

先生だ。教室中に散らばった生徒が、席に着いてゆく。

あの先生は...いつもドアの開け方が荒い。まあもう慣れたけどね。

そして、控えめに後ろのドアが開いた。近くにいる生徒をじっくりと見ながら、ゆっくり前に歩いて行くあの人。

距離が近くなるにつれて、心臓が高鳴っていく...

(バカッ!止まれ心臓!!)
そう念じたところで、何も起こらない。

長身に、短い黒髪。スーツをしっかりと着、その意味ありげな笑顔はまるで私達を見下ろしているかのよう。

「起立!気をつけ!礼!」
「お願いします」

...そして今日も、数学TTが始まった。

"先生は数字に消えて。"
これは頭のとてもいい先生に恋した1人の生徒の話。