隣の席の鈴木君

「人の彼女を、誘惑するのも、

いい加減にしてくれないか?」


…私たちの後ろから、そんな声がした。


「…鈴木君」

待ち合わせ時間丁度。

鈴木君が私を迎えに来たのだ。



静かに私に近寄ってきた鈴木君は、

私の腕を手繰り寄せた。


「聡美は渡せない」


「オレにはコイツが必要なんだ」

鈴木君と、奏の目線が交差する。

どちらも譲れないと言った表情で、

睨み合っている。



「オレにも、聡美は必要です。

仕事のパートナーとして・・・

そして、生涯共にする女性として・・・

彼女以外考えられない」

奏をまっすぐに見つめたまま、

鈴木君は言った。


私は泣いていた。

朝しっかり施した化粧は、

涙ですっかり落ちてしまっていた。