隣の席の鈴木君

「そんな風には見えない」


「人前と、私の前じゃ別人みたいだからね?」

そう言ってちょっとだけ笑う。


「オレと行ってくれよ」


「・・・どこに?」


「オーストラリアに」


「・・・へ?」

奏の言葉に、目を見開いた。


「迎えに来たんだ。

オレ、ずっとあっちで住むことになって、

仕事だから仕方がないと思ってたけど、

ダメなんだ」


「・・・何がダメなの?」



「あそこには、聡美がいない」


「・・・」


「オレにはお前が必要なんだ。

一緒に住んでた時みたいに、

疲れて帰ってきたとき、お前が、

お帰りって笑顔で言ってくれないと・・・

お前が頑張ったね、頑張ってるねって、

言ってくれないと」