隣の席の鈴木君

「エ、違う」

…咄嗟に出た言葉はそれだった。

別に嘘をつく必要はどこにもない。


でも、なんでだか、言えなかった。



だって、奏の顔が、

何かを訴えているように見えたから。



「…ウソつき」

私のウソなんて、

奏にはすぐにバレてしまう。

そうだよね、

奏と私は小さい時からずっと、一緒だった。



「…そうよ、嘘だよ。

今から鈴木君とデートなの。

奏は何しに来たの?」



「その鈴木君から、

聡美をさらいに来た」


「・・え、ちょっと!」

鈴木君だと思って、

鞄も持ってたし、ミュールもばっちり履いていた。

でもだからって、私を家から連れ出さないで。