「俺は血が飲みたいわけじゃない。でも俺の中のヴァンパイアの本性がどうしようもなく疼(うず)く時があるんだ」

ライルはミーナから目をそらして苦しげに言う。

ーー俺は、お前の血が欲しい。どうしようもないくらいに……。

一度飲んだら忘れられない。

甘く、まろやかなチョコレートの様な味ーー。

それがミーナの血の味だった。

ライルがチョコレートばかり食べているのはミーナの血の替わりなのだ。

ライルは大きく息を吐いて

「ミーナ……。そのネックレスを決して手放すな。それは俺の力を宿している。何かあった時はきっと助けになるだろう」