「あの……電気付けないの?」

ミーナは赤い顔を誤魔化すようにそう言って辺りを見渡した。

部屋は日がかたむいてますます薄暗い。

「……明かりをつけるとルネが喋れなくなる」

ライルはチョコレートを飲み込んで言う。

「ルネが?」

「アイツは明るい場所では普通の猫のようになってしまうんだ」

「ルネもヴァンパイアなの?」

「そうだ」

「猫だと思ってた……」

ミーナは驚いて言った。

「こっちでは猫のように見えるだけだ。アイツはあまり力が強くないから人間界では姿が変わってしまうんだ。ただ、身体能力はそのままだから七階でも窓から部屋には入ってこれる」