「そこに座ってて」

部屋には分厚いカーテンがかかっていて薄暗い。

ミーナはソファに座って辺りを見渡す。

ミーナの家のリビングとはずいぶん様子が違う。

(何て言うか……生活感がない)

テレビやエアコンなどは無くあるのはソファとガラスのテーブル位だ。

(如月君って一人暮らしなのかな?)

ライルはキッチンで驚くほどてきぱきとお茶の準備をしている。

(学校とは別人みたい……)

学校ではいつも寝ていたし、たまに起きたかと思えばぼんやりとしていることが多かったライルだがここでは眠そうな様子は微塵もない。

「ミーナ。コーヒーと紅茶、どっちがいい?」

「え?紅茶で……」

いつの間にか『木々野』から『ミーナ』と呼び方まで変わっている。