(誰かの飼い猫……かな?ここ七階なのに階段を上ってきたの?)

不思議に思いつつもしゃがんでその毛並みを撫でる。

ふわふわとした毛並を感じて思わず顔がほころぶ。

「ふふっ可愛い~」

猫は喉を鳴らして顔をミーナにすりつける。

「人懐こいね~どこの子?」

つい猫に話しかけてしまう。

すると黒猫はじっとミーナの見つめて目を細めた。

金色の瞳が何かを訴える様にミーナを見つめる。

「どうしたの?」

その時、サアアアという音と共に雨が降り出してきた。

(あ……降って来ちゃった。カサ持って来てないんだけど……)

ミーナは困惑して空を見上げる。

「にゃーん」

その鳴き声でミーナは再び足元に視線を戻す。

すると、猫はどこから取り出したのか銀色のカギを咥えていて、それをミーナの手のひらにそれを落とす。

「……?この鍵は?」