夢だと思ってしまえばなんてことはない。

目が覚めれば全て消えてしまうのだから。

ミーナは改めて窓際の男を見た。

長い金の髪は結われもせず背中まで伸びていて、美しい光を放つ。

通った鼻筋から顎にかけてのライン。

まるで美術室にある石膏像のように完璧な美しさだ。

何より目を引くのはその赤い瞳ーー。

男は視線に気づいたのかソファに座っているミーナの隣に腰を下ろした。

「ねぇお嬢さん名前はなんていうの?」

真っ赤なワイン飲みながら言う。

「木々野澪奈です」

「キギノミオナ……?変わった名前だね~」