【完】ヴァンパイアとチョコレート

男は窓際にあるテーブルからワインボトルを掴むとグラスに注ぐ。

ミーナはワインをさして美味しくもなさそうに飲む男をチラリを見る。

血のように赤いワインは男の目の色と同じ色だ。

(いったいどういう事なの……?私はリビングで寝ていていつの間に如月君とベットの上にいた……。その上、この人はヴァンパイアだって……)

いきなり迫ってくるライル。

どれだけ走っても出口のない廊下。

不思議な光と共に開いた赤い扉。

金髪の赤い目の男ーー。

そのすべてが日常とかけ離れている。

そこでミーナはある結論にたどりつく。


……あぁ、そうか。

これは夢なんだ。


そうと考えれば色々とつじつまが合ってくる。

ライルに押し倒された事も、この妙な家もヴァンパイアと言うこの男も。

きっと夢の中の出来事なのだ。