【完】ヴァンパイアとチョコレート

そして、持っていたガラスの破片に大きく十字架を描いた。

(お願い……!!)

ミーナは両手で破片を持って大きく宙に掲げる。

すると、月の光が反射してアンバードの瞳に真っ赤な十字架が写った。

その光は炎のように熱くアンバードの目を焼いた。

「ぐああああああ!!??」

アンバードはその場に座り込み、両目を抑える。

「あああああああああ!!!」

すさまじいうめき声をあげ、床にのた打ち回る。

被っていたフードは取れ、金色の髪からは焦げたような匂いがした。

やがて、彼の姿は美しい男の姿から禍々しい大蛇へと変わっていった。

大蛇はグネグネともがき苦しむ。

「……!!」

ミーナはその場に座り込んで胸を抑える。

「剣を!」

ライルはミーナの傍にある剣を取ると、大蛇に向かって深々と突き刺した。

「ぎゃあああああああ!!!」

ひときわ大きな悲鳴が屋敷内に響き渡る。