【完】ヴァンパイアとチョコレート

馬鹿にしたような声でアンバードは言う。

(大丈夫……)

ミーナはグッと剣を握りしめる。

「ミーナ……逃げろ」

ライルはダークブルーの瞳をミーナに向けて言った。

その輝きは月の光に照らされて、ミーナはこんな時なのにとても綺麗だと思った。

アンバードが一歩、また一歩とと近づいてきている。

心臓が今までにないくらい鳴り響いている。

ミーナは全身から冷や汗が出るのを感じながら、アンバードを睨みつけた。

(ライル君……今度は私があなたを……)