【完】ヴァンパイアとチョコレート

ミーナは目の前に立つライルを見上げた。

「大丈夫だ。お前はオレが守る……」

ライルは剣の柄を持ちかえ、アンバードとの間合いを測る。

(私、やっぱり足手まといだ……)

ライルが床を蹴り、アンバードの腕を狙う。

雲が晴れ、月明かりが辺りを照らす。

昨日、魔界に行ったときは新月だったのに、人間界では満月だ。

「っ!?」

屋敷に月明かりが入り込むとアンバードはわずかに顔を歪めて後ずさる。

(満月……。光……)

月の光に照らされているライルとアンバード。

よく見ると、アンバードは影になっている場所を選んで闘っている。