「はぁはぁ……」

闇の中、いくつもの角を曲がる。

どうしてだか、道路に車一つ通っていない。

月は厚い雲に隠れていて、夜はこんなにも暗かったのだとミーナは改めて感じた。

(この石が……導いてくれる)

青い石を握ると不思議とどりらの方角に行けばいいのかがわかる。

まるで主人の危機を知らせるみたいに……。

町はずれの袋小路……。

その奥には廃屋があって、周りは薄い膜の様なものに覆われていた。

「ラ、ライルくん……」

ミーナは息を切らしながらその膜に手をかざした。

するりと体が膜の中に入る。

「っつ……!?」

冷たい空気がミーナの肌を刺す。

(この空気……魔界の空気だ)