ミーナはその日、夜明けまでライルの家にいた。

ピクシーが心配だったこともあるし、今後の事を話し合うためでもあった。

「アイツはまた来るだろうな……」

ライルはミーナから離れた場所に座っている。

その顔には疲労がにじみ出ていた。

ルネは不安げにヒゲをそよがせてライルの膝に乗っている。

「アイツは結構な深手を負っていた。回復には時間がかかるはずだ」

「その間に何か考えないといけないよね……」

ミーナはアンバードに舐められた首筋を抑えた。

次に捕まったらきっと一滴残らず血をすすられる。

そう考えると息が詰まる。

「アンバードは純血だ。力も強いがそれだけヴァンパイアの特徴が色濃く出ている。
だから十字架もあれだけの効果があったんだ」