【完】ヴァンパイアとチョコレート

きつく目を閉じてライルは言った。

「お前の血が……俺にヴァンパイアの本能を呼び覚ますんだ」

「ヴァンパイアの本能……」

「そうだ……俺は半分人間だから十字架は効かない。だけど血を飲んでしまったらアイツと……アンバードと同じになってしまう……」

苦しげに気を吐きながらライルは瞳を閉じた。

「だから傷が治るまでは俺のそばに来たら駄目だ……」

ミーナは背を向けたライルとただ見つめた。

(私の血がライル君を苦しめる……)

胸に揺れているネックレスをそっと握る。

それは汗ばむ手のひらを癒すように淡い光をまとっていた。