【完】ヴァンパイアとチョコレート

「この子……助かる?」

「……羽をむしられてるな……衰弱が激しい」

ライルはルネが持ってきた小瓶のふたを開け、そっとピクシーの傷口に液体を垂らす。

「!!キュイー!!」

ピクシーは小さな口を開け体を強ばらせた。

「ひどい傷だ……アンバード様がやったの?」

ルネも心配そうに見守る。

「うん……あの人、この子の羽根をむしって笑ってた」

思い出すとゾッとする。

闇の中で笑うアンバード。

心底楽しそうな笑い声がミーナの耳にこびりついて離れない。