【完】ヴァンパイアとチョコレート

「オレの髪をあんな風にしたのってキミが初めてだよ。結構気に入っちゃってそのままにしてあるんだ」

言われてみればアンバードの長い髪は、昨日ミーナがした三つ編みのままになっている。

「このリボンについているキミの匂いを探って、今日は迎えに来たんだよ~」

と、アンバードは屈託のない笑みを見せる。

『アイツに近づくな』

昨日、ライルはそう言っていた。

しかし、明るく見えるこの男からミーナは危険を感じなかった。

(でも……なんだか胸騒ぎがする……)

ライルから貰ったネックレスは、警告するかのように光を放っている。

(ライル君……)

ミーナは後ろを振り返ったけが誰もいない。

闇は濃くなって深い霧に覆われていた。