○キャンプ場
6人、バーベキューをしている。
皆、立ち上がってコップを持っている。

(鈴木)「先生、あいさつ」
(山下)「おお、それじゃ。とにかく3年間、
ほんとに苦しかったが、ま、楽しくもあった。
みんな、卒業してからもしっかりがんばってくれ。
それじゃ、乾杯!」

(皆)「乾杯!」
皆、コップをあける。
(山本)「それって、陸上部万歳!じゃないですか?」

(山下)「あ、そうかもしれんな。とにかく皆、
ほんとにご苦労さん。はい、拍手!」
皆、拍手し座る。

炭火が赤々と燃えている。
(山下)「それでは今日はたらふく食べてくれ。
皆、おれのおごりだ」
(皆)「ありがとうございます!」

串が金網の上にならべられる。
いい香りが漂う。
(山本)「うまそうですね」

(山下)「ふむ。それじゃ、みんな、たべよう!」
(全員)「オーッ」
全員、串をひとつずつ取り、食べ始める。

(瞳)「いやー。これまだ生焼け」
(鈴木)「じゃ、これあげるよ」
(瞳)「ありがとう」
瞳、串を手にして、
(瞳)「先生、質問があります?」

山下、串をほおばりながら、
(山下)「おっ、なんだ?」
悦子の目が走る。

(瞳)「いつ田中先生と結婚なさるんですか?」
山下、つまる。
皆、食べるのやめる。

悦子、山下、一瞬火花散る。
(山下)「うっ、やぶからぼうになんだ。
結婚?田中先生と俺が?」

山下、ジュースを飲む。
(山下)「あー、のどがつまった。それはない」
(佳子)「ほんとうですか?」

(山下)「誰かいい人がいるみたいだ、田中先生には」
(佳子)「ということは、プロポーズしたんですね?」

山下、ジュースを飲む。
(山下)「これ以上この質問はなし。あー、のどがつまった」

山下をにらむ悦子。
その悦子をじっと見つめる
瞳と佳子のいぶかしげに見合す顔。
皆、串を食べ始める。

○タイトル
『それから数日後』

○タイトルバック
新緑に映える美しい湖の遠景。