「藤本さん?」
「は、はい!」
急に名前を呼ばれてびっくりした。
名前を呼んだ男の子はわたしが大きな声で返事したから驚いたみたい。
「ご、ごめんなさい。びっくりしたの…」
謝るとスッと笑顔になって
「あはは、いいよ!あのね藤本さんと俺明日日直みたいだよ?」
笑ったとき彼の八重歯が可愛かった。
笑顔が眩しい…
じゃ、なくて!
「え?どうしてわたし達が日直なの?」
だって今日は3年生になって初めての日なの。普通は出席番号1番のあ行の人とかからじゃないの?
そんな問いかけに彼は
「どうして…って」
「こーら!藤本!ちゃんと話聞いてなかったろ?」
「…あ、安部先生」
わたしと彼の前にはあ行の安部先生がいた。
「俺がな、学生の頃は安部のあ行で何かと早い段階で日直やら席やら最初の方にされてたのがすごーーーーーく、い!や!だ!っ!た!ん!だ!」
なんだろう、この体育教師並みの熱さは…
「だから考えたんだよ途中の名前の行のやつから日直やらなんやらをしてもいいんじゃないか、とな!」
名案だろ?とばかりにドヤ顔する安部先生。
「だ、だからってなんでわたしたちなのかな…?」
「藤本、今日は何月何日だ?」
「4月7日です。あ、もしかして4×7で28?でもわたし31番ですよ?」
「ふっふっふっ!俺がそーんな単純に決めるとでも思ったか?4×7で28は正しい。だ!が!俺はそれにプラスしてさらに3を足したんだ!」
ドヤ顔する安部先生の言っている意味が分からなかった。