私はただひたすらに走る。
まずい。これは一番、ヤバイやつかもしれない。
筋肉のない、運動慣れしていない足を必死に動かして走る私。
今は夜中の12時頃だろうか。道には誰もいない。だから、今私が必死に声をあげて助けを呼んでも、誰も助けに来てはくれないだろう。
「おい、待てよ。逃げても無駄だぜ?」
後ろから笑い声を含んだ甲高い声が聞こえる。
追いつかれる。私は怖くて後ろを振り向くことができなかった。
子供の時以来だ。こんなにも何かが怖いと思ったのは。
もうだめだ。私の足がもう走れないというように、ガタガタと震えている。いや、もしかしたら恐怖で震えているのかもしれない。どちらにしろ、今の私には危機的状況だ。
そう。信じてもらえないかもしれないが、私は今、悪魔と呼ばれるものに追いかけられている。