「ありがとう。 また、呼んでもいい?」





事を終えてベッド脇に腰がけた山本さんが財布から一万円札を三枚抜き取り、
ベッドに横たわる私に渡す。



私の価値は一万円札三枚か…と柄にもなく考える。



いつもなら、今の時点で服を着ていても可笑しくない状況で

私はベットのシーツにくるまったままそれを受け取った。




「じゃあ、私は帰らなきゃならないから」


スーツ姿にもどった山本さんはさっきのことなんてなかったかのようにきちっとネクタイを締めて帰って行った。

お風呂に入らなかったのは家族にばれたくないからだろう。
山本さんの口から奥さんがいるとは一言も聞いてなかったが長く続けていれば、何となく察する。


年齢から見ても私のより少し下の子供が居ても可笑しくない年齢だ。
一つ屋根の下、暮らす父がこうして同年代の女と寝ていたらどう思うのだろう。

毎回思うが私を買う男の人の気持ちはわからない…。





だるい身体を丸めて服も身につけないまま、瞼を閉じる。


一人になったホテルの一室は冷蔵庫の唸る音だけが妙に大きく響いていて奇妙だった。