確信の一言を問われて

目の前に写る光景が一瞬で白黒に変わる。




目眩に近いその感覚に捉えられて何一つ返すことが出来なかった。




ただ倒れないように足に力を込める。

寒いわけじゃないのに身体の芯が震えて
息が続かない。


「恵美ちゃんの知り合い?」


なかなか返事をしない私を見かねて山本さんが声をかける。
遠くなりつつあった意識を取り戻して平静を装った。


「はい。 久しぶりだよね、ショウコ」



顔が麻痺したように今自分が浮かべている
表情がよくわからない。



「あ! やっぱり恵美ちゃんだよね! もしかしてと思って先輩と様子伺ってたんだけど、
めちゃくちゃ綺麗になってるから疑っちゃったよ」



弾けたようにショウコは話始める。

さっきの怯えた声は嘘のように明るい声でキャピキャピした感じは元より変わっていないようだ。

「先輩も…お久しぶりです」

片方を無視するわけにも行かず、以前より身体つきが良くなって大人びたその姿に軽く視線を絡めて目を背ける。



「久しぶり矢崎。 ……そっちは?」


以前より低くなったその声に肩がびくつく。





「あ…うん。親戚の方…」





嘘をついてしまった。



高校時代も包み隠さず、汚い自分を晒して来たのに

この人たちには知られたくなかった…。



「そうだったんだっ…ごめんね。突然呼び止めて…。
連絡先変わってから全然音信不通だったからさ、
つい…嬉しくなっちゃって…」


唾をゴクリと飲み込んでバレてないことを察する。

「ううん。ありがとね…」

嫌だったわけでもなかったけれど
嬉しいとも思えなかった。







それからの自分の行動ははっきり言って覚えてない。
気がついたら山本さんの上に跨がっていた。

ベッドに横たわる山本さんはさっきより汗ばんでいる。



グチュグチュと粘ついた音が下半身から聞こえて
事の実態が何となくわかって来た。


「恵美、ちゃんっ…?」


私の下に横たわる山本さんが声をかける。

「はい」

いつも我に返るはずなのにその時だけはどうにも身に入らず、
今日は最初から最後まで山本さんに身を預ける形になってしまった。