「よし、行くか」


半分ほど吸って灰皿にそれを押しつけた先輩は
意気込んだように立ちあがる。


私もそろそろ帰ろうと短くなった
煙草を灰皿に押しつけて携帯をバックに閉まった。





「もう午後になりますね…。 先輩、時間大丈夫だったんですか?」


流れでここで煙草を吸っていた先輩だけど

もう1時間近くは経ちつつある。





「あぁ、もうほとんど講義もないし、
サークル活動だけなんだ」


大学の夏休みはかなり早い。

もう夏と言っても過言じゃないことを考えれば納得出来た。



「矢崎は? 時間平気?」


「私は平気です。 今日はもとより講義出る気なかったので」


「そっか」

先輩を先頭に休憩所から出る。







平日の昼間であることもあって人は本当に少なかった。








「じゃあ、まだ時間あるよな」

言葉を続けるように先輩は振り返る。



「時間…?」

その意味がわからず私はまともに聞き返す。





「俺等の大学、この近くなんだ。」





察しろと言わんばかりに遠まわしな言い方をする。


「小田も会いたいって言ってたし」




そこまで言われれば私も察っしが付く。




「……」

黙って方向転換をした私は一目散に改札口を目指そうとするけれど


「講義でないなら、暇だろ?」

呆気なく腕を取られて逃げ道を失くす。




「…このあと…用事、あるんですよ…」


「休憩所に1時間近く暇を持て余してたのに?」

苦し紛れの言い訳は先輩にことごとくへし折られ、困ったように笑う。






困っているのはこっちなのに。






「でもですね…」


流石にこの格好で行けるわけない。

先輩は気付かなくとも女であるショウコは必ず気付くはずだ。


それだけは避けたい。




「小田たちに会うの、そんなにいや?」

「……」

返す言葉もない。







「それとも―――」







出来ればあんな光の中入りたくはないと思う。


だけど、ショウコと会って早坂先輩と話して
自分が一瞬でも光に灯された気がして

それを心地よく思ってしまっている自分がいるの

また否定できなかった。








「その服が、原因?」