10分くらいしてバックから煙草を取り出して
徐に火を付ける。
普段は吸わない私だけどこうして精神が不安定になった時、
吸うと何だか安心するのだ。
まだ、薬物でないだけマシだと思ってほしい。
煙草を吸い上げて口から煙として吐き出す。
その煙を眺めていると
静かに休憩所のドアが開いた。
ガラス張りになっている休憩所から外は丸見え状態で入って来た人が私に向かって話かける。
「矢崎?」
今どき休憩所でナンパかいなんて思っていたら
自分の苗字を呼ばれて吸い上げた煙草の煙で豪快にむせる。
「わるいっ大丈夫か?」
その人は私の向かいに座って背中に手を置いた。
下心ないその手は昔と変わらないと思う。
少しして落ち着いて騒ぐ胸をどうにか隠して声を出す。
「昨日今日でよく会いますね。 早坂先輩」
こうして名前をまともに呼ぶのは何年ぶりだろう。
「あ、俺ここの近くの大学に行ってるからさ。 早坂は――…」
「! ……たまたま最近この駅に用があるだけですよ」
昨日と同じ格好をしていること気が付いて
それが悟られないように無理やり笑う。
「そうなんだ。 昨日、小田が矢崎にメールするって意気込んでたけど…来た?」
小田と言うのはショウコのことだ。
確か昨日、私はショウコと連絡先を交換した。
「あ……、あれから携帯見てなくて…」
バックの中で眠る携帯を思い出して煙草片手にそれを引き出す。
「にしても矢崎が煙草吸うなんて以外」
携帯をいじりながら早坂先輩がその様子を伺う。
私も早坂先輩に会うのなら煙草なんて吸わなかったと思いつつ、
「たまに」と素っ気なく返した。
メール受信ボックスにはショウコのものと
嘉山さんとアユミのメールそしてメルマガが混じっている。
「来てますね…」
ショウコからは「さっきぶり!ショウコです!
早坂先輩とミサが会いたがってるから
また今度時間が出来た時でも会えないかな?」と来ている。
懐かしいミサと言う名前に暫く瞬きを繰り返した。
