「あ-、あちぃー」
パタパタと、手のひらで顔をあおぎながら、トモアキの左に座る。
毎度のことだが、他に客はいない。
「今日も、はやってねーなー。
マスター、この店、大丈夫なのか?」
「アツヤに心配されるほど、落ちぶれちゃいねーよ!」
「こんなに客入らねーのに、よくつぶれねーで、もってるよな」
「うるせーよ、ほっとけ」
マスターは、冗談めかして顔をしかめると、テレビの方に顏を向けた。
画面には、見慣れたワイドショーの司会者が映っている。
そいつが、「以上、選挙情報でした」と言うと、CMに切りかわった。