リュックの中には、会長が100万円ずつ束にしてくれた金が、どっさり入っていた。
会長は、それをテーブルの上に出しながら、話し始めた。
「昨日、『ミラージュ』の2階から下におりる前に、俺、トイレを借りただろ?」
「あぁ、そういえばそうだったな」
「あのとき、アタッシュケースに入ってた金を自分のバッグに入れて、代わりにあの部屋にあった雑誌を数冊、入れておいたんだ」
「マジか?」
「で、アタッシュケースに鍵をかけて置いてきた」
「なんでそんなこと?」
「俺は、基本的に、大人は信用しない」
「あぁ、そっか……」
会長、自分で何度もそう言ってたっけ。

