「じゃ、また明日ね」
「あぁ。
桃香、今日は、本当にありがとな。
助かったわ」
礼を言うと、桃香は笑う。
「ううん。
私、実はね、今日の午前中、アツヤ君とケンカ別れみたいになっちゃったのが、ずっと気になってたの。
でね、不謹慎かもしれないけど、
お金が無くなって、よかったって、ちょっぴり思っちゃった。
これでもう、アツヤ君とケンカしなくて済むって……」
「あぁ……」
そういえば、金をどうするかで、意見が対立してたんだっけ。
午前中のことが、すごく遠い過去に思える。
大金なんか、持つもんじゃないのかもな。
ただ、これで、トモアキの授業料は払えなくなっちまったけど……。