さすが、会長。
優等生は、ウソのシナリオも完ぺきに作れるんだな……。
「でも、桃香、よくあんなでたらめ、スラスラ言えたな?
最後なんて、涙まで流してさ。
俺、ビックリしたわ」
すると、桃香はペロッと舌を出して笑う。
「あれは、自分でもビックリしちゃった。
でも、しゃべってるうちに、マスターにだまされたのが悔しくて、自然と涙が出てきたの」
「ふぅん、そっか……」
「でもね、私はまだ、マスターとはそれほど親しくないから、自分が悔しいっていうより、
アツヤ君とトモアキ君の気持ちを考えて、悔しかったの。
ふたりは、小さい頃からずっと、マスターのこと、慕ってたんでしょう?」
「あぁ……、まぁな……」

