8月の宝探し


車が見えなくなると、おふくろが、俺と桃香を見比べて言った。


「帰りましょうか」


「おふくろ、もう遅いから、俺、桃香を家まで送ってから帰るから、先に帰ってて。
あと、親父にも誤解だったって、連絡しといて。
弁護士もいらないって」


「あぁ、そうね、わかったわ。
気をつけて……」



半分、放心した感じでおふくろはそう言い、さっそくケータイを取り出しながら、家の方へ歩き出した。


俺は桃香をうながし、駅の方へと向かいながら、聞いた。


「なぁ、今日、会長は?」


「あぁ、トモアキ君が電話したら、ちょうど、ご家族で外食に出てたみたいで、抜けられなかったみたい。
でもね、私とトモアキ君がしゃべったことは、全部、沢木君の指示通りなんだよ」


「マジか……」