8月の宝探し


部屋はいつもどおりだ。


ただ、トモアキが言ったように、金庫の扉が開いていた。


もちろん、テーブルの上に置いてあったアタッシュケースも、なくなっている。



「叔父さんの行き先に、心当たりは?」


おっさんがトモアキに聞く。


「さぁ、わかりません」



若手刑事が、金庫から紙切れを取り出した。


「これを見てください」


おっさんがそれを受け取る。


「借用書だな……。
君は叔父さんが、借金をしていたという話は聞いてるか?」


聞かれたトモアキは、首をかしげて答えた。


「話は聞いていませんが、人相の悪い人たちが、店に、金を返せと怒鳴りこんできているのは見たことがあります」