これには、さすがのおっさんも驚いたらしい。
目を見開いて、桃香に聞く。
「どういうことかね?」
桃香は、大きな目をまっすぐおっさんに向けて、熱心に話し出した。
「8月1日、私たちは、マスターに頼まれて、破れていた小学校の金網を直したんです」
「ほう。小学校の金網を?」
「はい。
校庭の金網に、破れているところがあって、そこから近所の子どもたちが入りこんで、危ないからって。
マスターは、区役所にも金網を直すよう言ったらしいんですけど、対処してくれなかったそうなんです」
「ふむ、それで?」
「マスターが材料費を出してくれて、私たちはホームセンターで材料を買って、校庭や校舎内で遊んでいた子どもたちを外に出して、金網を修理しました」

